イタリア語の子音

日本語と子音の関係

日本人にとって、イタリア語の子音の発音はそれほど難しくはありませんが、母音のそれに比べれば難易度は幾らか増します。その理由は大きく分けて2つあります。一つはイタリア語には日本語の音で代用できない音が含まれていること。もう一つは、日本語話者が(意識の上では)子音と母音をセットで認識してしまいがちであるということです。ただ、これらはイタリア語に限らず、すべての外国語を学習する時にも言えることかと思います。

まず、日本語で代用できない音ですが、これは必ずしも日本語に全く存在しない音のみを指す訳ではなく、意識して発音することが難しい、というくらいに理解しておいてください。※日本語には意外と色々な音が含まれているのですが、前後の文字の組み合わせによっては同じ文字でも違う発音となることがあるのです。代表的なものには、“l”や“r”があります。英語でもそうですが、これらは厳格に区別される必要があり、例えば“lana(羊毛)”と“rana(蛙)”は、日本語風に言えば共に「ラーナ」となりますが、全く別の意味になります。対照的にイタリア人が「冷蔵庫」と発音するとして、それが“reizou-ko”でも“leizou-ko”でも、日本語を母語とする人にとっては問題なく「冷蔵庫」に聞こえるでしょう。一方、イタリア人にとっては同じ“nori”であったとしても、抑揚によって「海苔」になったり「ノリ」になったりします。

上記とも関連することですが、日本語話者が子音を母音と組み合わせて認識しがちであることが別の困難をもたらすこともあります。例えば、“spino(とげ)”と“supino(仰向けの)”、“sperare(期待する)”と“superare(超える)”は、無理やり日本語の音にすると「スピーノ」と「スペラーレ」となります(とはいえ、東京人の「ス」の母音は聞こえないことが多いです)。これは、日本語の50音が母音と子音をまとめた表記となっていることが大きく関係しています。初心者向けの参考書などでは、イタリア語の単語に読み仮名が振ってあることがありますが、日本語表記で覚えると本来区別しなければならないものが曖昧な形で身に付いてしまうので、できるだけ「イタリア語そのまま」の音で覚えることをお勧めします。

若干話が脱線しましたが、要するに言語によって意味を区別する基準が異なり、それは音である場合もあれば、抑揚であることもあるということです。日本人がイタリア語を発音する時は、特に子音の音母音の有無を念頭に置く必要があります。

子音の種類

それではイタリア語の子音にどのようなものがあるか見ていきましょう。アルファベートは、母音以外の16文字が使われます。

イタリア語の子音
項番 文字 IPA 単語の例
1 b /b/ Bari
2 c /k/ /ʧ/ Como, Vicenza
3 d /d/ Udine
4 f /f/ Ferrara
5 g /ɡ/ /ʤ/ /ɲ/ /ʎ/ Golizia, Genova, Bologna, Puglia
6 h [無声音] hotel [“h”は無視して“otel”と発音]
7 l /l/ Lecce
8 m /m/ Milano
9 n /n/ Napoli
10 p /p/ Pisa
11 q /k/ L’Aquila
12 r /r/ Roma
13 s /s/ /z/ /ʃ/ Siena, Treviso, Brescia
14 t /t/ Torino
15 v /v/ Venezia
16 z /ʦ/ /ʣ/ Firenze, zona